
JR東日本やJR西日本の支社再編や支社統合、誰にどんな影響があるの?
今回は元鉄道会社総合職の筆者が、この質問に解説していきます。(2022/9/30 追記)
コロナ影響によって、鉄道会社はこの2年間憂き目にさらされていますが、今週はJR東日本、JR西日本の2社が立て続けに支社再編するとのニュース。
ニュースの書き方を見ると、業績悪化と人員削減ばかりに焦点が当てられています。
個人的な結論を言えば、旧国鉄の鉄道管理局の名残をようやく合理化できるのかといった感覚です。
※鉄道管理局:日本国有鉄道の地方機関。昭和24年、日本国有鉄道補足とともに全国に26曲が設置。昭和62年、国鉄民営化により廃止。
あるべき姿に向かうためには、どうしても変革が必要。
今回は特に、JR東日本やJR西日本を利用するユーザーや、働く社員への影響について考えてみました。
\元JR総合職の筆者も利用 /
支社再編って?JR東日本・JR西日本はどう変化する?

各報道の記事では以下のとおり伝えられています。
JR東日本の支社再編

現在の12支社を「首都圏」「東北」「新潟」の三つのエリアに再編。
東京支社を首都圏本部、仙台支社を東北本部に改称し、運航する各県の大半においてある支社の機能の一部を集約する。
新型コロナウイルス感染拡大による利用者減による業績低迷を受け、コスト削減に向けた体制強化が目的。
各支社の企画部門の一部業務を現場部門に移管する方針で社員の業務を弾力的に運用。支社そのものは存続させる。
JR西日本の支社再編
近畿地方では、和歌山支社と福知山支社を大阪市の近畿統括本部に集約。
中国地方では、広島支社、岡山支社、米子支社を中国統括本部に統合。
組織の再編後も、安全運航に影響が出ないよう各支社が持つ鉄道運行に関わる部署や地域の窓口となる部署も残す方針。
岡山支社、組織再編で社員大幅減20人に(2022/10/1より)
新型コロナウイルス禍などによる旅客減少を受けた措置で、利用が低迷するローカル線の在り方を自治体などと協議する部門を除く全機能を「中国統括本部」(広島市)に集約。
JR岡山支社 組織再編で大幅縮小 10月1日付、所属社員20人に:山陽新聞デジタル|さんデジ (sanyonews.jp)
岡山支社の所属社員は190人から20人まで減少するとのこと。
それでも、サービス低下を招かないよう、中国統括本部の社員35人程度は常駐する見込みです。
JR東日本・JR西日本ユーザーへの影響は?【支社再編】

支社が本部に統合されることによる影響というよりは、人の手配が減ることで間接的に影響が出てしまうと考えます。
利益拡大が会社としての命題である以上、メスがはいるのはこのような点ではないでしょうか。
1つ目の変化 | 2つ目の変化 | 2つ目の変化による結果 |
駅改札口の社員数減 | 改札口遠隔化 | 人身事故など電車遅れ時や生産時の対応力低下 |
駅みどりの窓口減 | 券売機多機能化・遠隔化 | きっぷ購入に不慣れな子供・高齢者へのサービス力低下 |
ホーム安全確認社員減 | ホームカメラ・ホーム策増設 | 資格への対応、異常時対応力の低下 |
車掌乗務省略 | ワンマン列車増 | 異常時の安全性低下 |
運転士減少 | 列車の本数減 | 利便性低下 |
JR東日本・JR西日本社員の働き方はどう変わる?

支社が本部に統合・再編されたところで、社員の行き場が無くなるということは考えにくいかな、と。
バブル後にJRに入社した社員は、駅のキオスクや関連会社のホテル・レストランのウエイターで一時を過ごす社員もいたそうですが、今回はジョブローテーションを通じた業務の多角的運用をしていくとの記載。
かつてJR西日本で大阪・京都・神戸の3支社が近畿統括本部の傘下に配置された時、営業や輸送計画機能が支社から本部に移管され、支社は駅や乗務員の人・施設管理の側面が強くなったと聞きました。
今後の支社再編におけるリスクを私は以下のように考えます。
本部が正しく現場の実態を把握しない。安全、営業、人員面で数字上で施策を決定した結果、不便な鉄道となってしまうことです。
鉄道会社の社員数が自然減しつつ、その波に乗る形で、業務や組織改革も行っていることは明らかなので、現場社員は今本当に踏ん張り時だと思います。
後は単純に、主に管理職以上のポストが統合されることで出世しづらくなったり、支社から本部への異動が発生することになったり、と。
ただ、こういうところは鉄道会社に限らずどこでも同じ状況に向かっていくでしょう。
\元JR総合職の筆者も利用 /
JR東日本・JR西日本 支社再編、支社統合まとめ

この記事ではJR東日本とJR西日本の支社統合・支社再編に関する情報をまとめました。
また、元鉄道会社総合職として、この支社再編が駅や電車の利用客、働く社員にどのような影響があるかを考察しました。
今後鉄道会社を取り巻く環境は厳しい状況が続くと思われますが、ニュースで報じられるようなマイナス面ばかりではなく、プラスの面を取り込み、民間企業として健康的に成長していくことを願います。
どの報道もセンセーショナルな記事タイトルをつけていますが、利便性や安全性が低下するかどうかは、これから電車を使ってみた上で本質を判断していきたいものです。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

JR東日本・JR西日本に所属しており、転職検討中の方はこちらも合わせてどうぞ。
\元JR総合職の筆者も利用 /