海外駐在すると年収が増えると聞いたけど本当?
「海外で一度は働いてみたい」「国際的なキャリアをつくりたい」というあなたにとって、海外駐在員としての年収は大きな関心事ですよね。
今回はこんな疑問に答えるべく、海外駐在をした筆者自身の経験談を含めた「海外駐在員の年収事情」について調査しました。
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- 海外駐在員の年収はサラリーマンでもトップクラス(額面1.5倍、手取り1.7~1.8倍)
- 駐在中の収入が増える理由は危険や不安定でハードな生活に対する福利厚生・手当の充実
- 海外駐在前、海外駐在中、帰国時にそれぞれ恩恵あり。詳細は各社で大きく異なるため要チェック!
- 国ごとに海外駐在員の年収事情は異なる
- 途上国ではハードシップ手当がつき、先進国では物価に見合った給料
- 業界・企業ごとでも年収事情は異なる
- 基本的には日本の平均年収による。数字に表れない福利厚生の差が大きい
- 海外駐在員としてのキャリアは魅力的である一方、ライフプランの明確化が重要
- 海外駐在員を目指すには「今の会社でアピールする」「海外駐在しやすい会社に転職」
- 大手メーカー海外営業転職を経て、途上国に海外駐在
- 帰国後転職し、海外事業企画キャリアに転身
海外駐在のメリット・デメリットについても解説しています。
メリットはこちらから!
海外駐在員の年収・給料事情
海外駐在の年収・給料
気になる海外駐在の年収は、日本で働いている状態から手取りで1.7~1.8倍と言われています。
例えば、日本で年収800万円の人が下位が赴任をした場合、額面が1.5倍の「年収1,200万円」となり手取りは「年収1,000万円」を超えるレベルが相場です。
あくまで相場なので、勤務地や業界、職種によって変わることがありますが、一般的には日本にいる時よりも多くの収入が得られます。
現地で口座開設は金欠なのに、気付いたら使えきれないほどの貯金が。
海外駐在員の年収が増える理由
海外駐在員の年収が高くなる理由、特に手取りが高くなる理由はいくつかの要素があります。
- 海外赴任して一定期間が経つ度、現地の税制に基づいて課税される
- 住宅や自動車が会社支給・会社負担
- インフラ関連や治安に不安のある地域ではハードシップ手当あり
- 赴任手当、家族帯同手当も日本で働く時にはないもの
海外駐在が一年を超える場合、住んでいる市町村から住民票を抜くことになるため、住民税支払いが免除され、手取り金額が増えます。
所得税も赴任先現地の税制に基づいて支払いが必要となりますが、国ごとに異なる所得税負担の不公平を無くすため、ほとんどの会社では所得税は会社負担。
ただし、個人の所得税を会社負担とするのは税法上問題があるため、赴任者が日本にいた場合の想定で税計算を試算し、手取り額としては減額されているようです。
それでも住民税を支払う必要がないのは非常に大きい!
海外駐在員の福利厚生・手当
海外駐在員の福利厚生・手当の概要
海外駐在員には様々な福利厚生や手当が支給されます。
企業によって手当・福利厚生も大きく変わるのですが、代表的な手当としては以下のような赴任手当(ハードシップ手当)や引っ越し手当が挙げられます。
海外駐在は駐在する本人だけでなく、配偶者や子供など家族の人生にも関わる大きな出来事。
そのため、皆が安心して仕事できるように企業がサポートやケアをする必要があり、手当とともに会社負担の費用もかなりの額です。
金額ベースだとざっと以下のイメージになるのではないでしょうか。
手当名 | 金額 |
---|---|
海外赴任手当 | 月額20万円~100万円 |
住宅手当 | 月額30万円~150万円 |
帯同手当 | 月額10万円~50万円 |
教育手当 | 月額10万円~30万円 |
引越し手当 | 50万円~200万円 |
事例:駐在員の福利厚生・手当
筆者の事例ですが、ざっと振り返るだけでも以下のような福利厚生・手当を記憶しています。
海外駐在前
海外駐在前は以下のような福利厚生(研修)・手当がありました。
内示を受けてから数か月語学研修や異文化研修を受けていた筆者ですが、一方で会社によってはほとんど研修なく業務もそこそこに送り込まれることもあるので、上司や人事に確認しておきましょう。
当たり前のようにビジネスクラスを使える会社ではなかったので、赴任時・帰任時のビジネスクラスにはテンション上がりました。
・海外駐在前の語学・異文化研修
・研修にかかる宿泊・食費等
・赴任先で必要な予防接種、ワクチン
・住居貸出見積もり、リース契約手続き
・引っ越し準備
・赴任時は確定ビジネスクラス
海外駐在中
海外駐在中は先ほど記載したような各種手当に恵まれました。
語学研修の費用も家族分含め負担してくれたので、妻も英語を習い始めるきっかけに。
ここも務める会社によりますが、現地校や日本人学校の費用は手当で賄えるものの、インターナショナルスクールの場合費用がオーバーしてしまうというケースが各国で発生。
結局現地の日本人学校に子どもを通わせるケースが多かったようです。
こういった手当は言葉にせずとも、メーカーと商社・銀行の差を感じましたね。
・年1回の帰国費負担
・年10日以上の休暇・移動滞在費
(近隣先進国への買い出し)
・医療費(基本無料)
・住宅費用(限度額あり)
・教育費(限度額あり)
・専属ドライバー契約
(先進国の場合、社有車)
・現地での語学研修費用
・帯同手当、ハードシップ手当等各種
帰国時
帰国時は移動・引っ越しに関する諸手当がでていた程度。
現地から日本に送金するお金の為替分を補填してくれるサービスがあったような気もします。
・引っ越し費用
・帰国時は確定ビジネスクラス
国ごとの海外駐在員の年収・給料の違い
生活が大変な発展途上国ほど年収は高くなる
一般的には、生活が大変な途上国ほど、海外駐在員の年収が高くなる傾向があります。
例えその国の生活費や物価水準が低くとも、駐在員として安全を確保した上で生活する場合のコストが高くなることや厳しい労働環境を加味してつけられるハードシップ手当によるものです。
一般的に先進国と呼ばれる地域や日本人が既に多く居住する地域に駐在する場合ハードシップ手当はつきません。
アフリカや南アジアの衛生面に不安がある地域、宗教問題や紛争が発生する中東が満額でつくので、とりあえずお金欲しい場合おすすめ。
筆者もこのハードシップ手当を享受できる地域でした。
普段お金使う機会もそんなないんですよね。
物価が高い国も年収が高めになる
例えばシンガポールやスイスといった物価の高い国でも、物価に見合った高い年収が支払われることが一般的です。
これは現地での生活費や生活水準を確保するための配慮と言えますが、ハードシップ手当をもらう国とは異なり、普通に生活するだけでも必然的に日本に住むよりお金が必要なため「全然貯まらない」との声を良く聞くのが先進国の駐在。
多くの企業の場合、国ごとの物価指数から日本の給料が現地給料に換算されて、支給されることとなります。
物価が高い(=先進国)国で働く場合は為替を良くチェックしましょう。
単身の場合など、円給料と現地給料の比率を変えられる場合、なるべく現地通貨でもらっておくのが、帰任時貯金を作って帰ることができるメリットになるかもしれません。
業界・企業別の海外駐在員の年収・給料の違い
海外駐在員年収は日本の平均年収に比例する
海外駐在員の年収は、日本での平均年収に比例する 海外駐在員の年収は、一般的に日本での平均年収に比例する傾向があります。
つまり、日本での平均年収が高い業界や企業で働く海外駐在員の方々は、高確率で他の業界や企業の海外駐在者に比べて高い年収を得られるということ。
筆者も現地のゴルフコンペで商社、銀行、航空、メーカー、サービス業などいろいろな会社の方と出会いましたが、本当に実感しています。
総合商社が勝ち組過ぎた。
仕事忙しそうだったけど。
事例:海外駐在員の実際の年収
筆者の経験やヒアリングを元にした、大手メーカーの海外駐在員(途上国)の年収をいくつか提示したいと思います。
属性 | 日本の年収 | 海外(途上国)の年収 |
---|---|---|
研修赴任(トレーニング) | 750万円 | 1,000万円 |
担当~主任レベル | 850万円 | 1,200万円~1,500万円 |
課長代理レベル | 950万円 | 1,500万円~1,800万円 |
課長~次長レベル | 1,200万円 | 2,000万円~ |
部長・支社長レベル | 1,500万円~1,700万円 | 2,300万円~ |
上記は家族帯同の有無でも変わりますが、途上国のハードシップ手当が追加される国ではおおよそこの程度の年収となります。
見ていただいてわかるように、かなり夢のある年収だと思いませんか?
総合商社の場合、日本の年収ベースがそもそも違うので、同じ属性でももう2段階上の年収になると聞いています。
住む場所の立地や住宅の広さも大使館や教育施設がある都心ど真ん中だったり、豪邸だったり。
一方で、小売りや製造業でも利益の低い製品を扱う専門的な会社の場合、年収が低いだけでなく、専属のドライバーが付かずUberや公共交通機関で移動をしているといった話も聞いていたので、平均年収の高い会社からの海外駐在が望ましいのは間違いありません。
ケチな会社は海外駐在手当も大体ケチです
海外駐在員の給料・年収の相場について
先ほどは筆者が駐在した国における一般的な年収事情を紹介しましたが、口コミ等を元にさらに海外駐在員の年収・給料相場を深堀してみました。
給与事例1
会社の同期がミャンマーに駐在する事になりました。
以下待遇(大凡の月給)です。めちゃ羨ましい、、、
給料通常額面 :40-50万円
海外駐在手当 :10万円
帯同手当 : 20万円
ハードシップ : 20万円
車、ドライバー付き、家賃無料等
ミャンマー駐在 (Twitterより引用)
商社勤務の方だそうですが、ミャンマー駐在ではハードシップ手当がつくようです。
手当が通常の給料を超え実質年収2倍となりますね。
隣のタイはハードシップ手当無い場合が多いので注意。
給与事例2
アメリカ駐在中で以下
・日本円給料額面25万円
・ドル給料7500ドル 家賃手当3500ドル
・社用車 会社負担但しガソリン代半額負担にて私用使用を可としている。妻車 会社負担
・携帯 二台まで会社負担、家具費用会社負担
・子供教育費70%会社負担 これでもアメリカじゃ生活費高過ぎて全く貯金出来ません。
アメリカ駐在(Twitterより引用)
次はアメリカ駐在の方、ドル給料や家賃手当がすごい!
と思うかもしれませんが、住居と教育の諸費用も高く、物価インフレ具合が凄まじく、貯金ができないようです。
これはアメリカや欧州駐在者からよく聞く話。
現地の実態から最低1年遅れで給与改定が反映されるので常にキツイんですよね。
海外駐在員の年収とキャリアのバランスを考える
8-1. 駐在員としてのキャリアパスと将来の展望
海外駐在員として働くことで、グローバルな視野を持ち、異文化に対する理解や語学力などのスキルを身につけることができます。
多くの場合結局日本に帰ってきて事業を推進していく立場になることが多いですが、日本国内でのキャリアにおいても大きなアドバンテージに!
考えてみてください。
会社が期待しない人材にこんな莫大な費用払いませんよね!
海外駐在員としてのキャリアパスには、一般的に以下のようなものがあります。
- 海外駐在員から日本国内の本社に戻る
- 海外駐在員から他の海外拠点に移る
- 海外駐在員から現地でManager→GM→Directorと昇格キャリアを歩む
これらのキャリアパスは、企業や業界によって異なるため、事前に確認することが重要です。
海外駐在を果たしたからと、必ずしもその後ずっと担当地域が変わらないわけではないですし、筆者の場合希望していない負荷の高い業務が与えられモチベーションを失いました。
8-2. 駐在員経験を活かしたキャリア転機の選択肢
海外駐在員としての経験は、将来的にキャリア転機を迎える際にも大きなアドバンテージとなります。
海外駐在員から日本に戻った場合、グローバルな視野、異文化に対する理解や語学力などのスキルを活かして、新しいビジネスの展開や海外事業のマネジメントなどに携わることが一般的。
人によってはOut-to-Outと呼ばれる、海外駐在員から他の海外拠点に移る場合もあります。
このようなケースは、一つの海外駐在先で一定の実績を残した時や日本に適したポジションが無い時に起こりますが、異なる文化やビジネス環境に対応する力が求められます。
グローバルなキャリアを築くことができる上、駐在員給料のボーナス期間が延長するので個人的にはサラリーマンで達成できる勝ち組コースの一つだと感じています。
Out-to-Outが起こるのは課長級以上が多いイメージ。
駐在の場合GM・Director級で責任は大きいですが、仕事量と給料のバランスが良い印象をもっています!
8-3. 家族やパートナーとの関係を含めたライフプラン
一方で、海外駐在員として働く場合、家族やパートナーとの関係も考えなければいけません。
家族が海外駐在に帯同する場合、現地での生活や教育などに苦労するケースが多くあります。
海外駐在を目指す場合、また海外駐在の辞令が出た場合、「単身で行くか帯同で行くか」、「帯同の場合、どのような生活となるか」「子どもの教育はどうするか」といった内容の意見交換を重ね、ライフプランを共有することが大事。
筆者の場合も家族全員の海外経験に賛成な私と、安全・安定から日本に残ることを望む妻との間で意見がわれました。
あなたが独身や若手の間であればまだ問題ないですが、家庭が落ち着いた状況下でいきなり海外駐在となると影響が大きいので、目指す場合は事前に相談しておきましょう。
海外駐在員になるためのポイント・コツ
働きながらアピールをする
海外駐在を目指す人はまず日本で「海外営業」「海外企画」を目指しましょう。
海外営業を通じて特定の地域・国に何度か出張し、キーマンとの関係を作ることで海外駐在候補に名を連ねることができます。
目に見える努力や成果もつくり、定期的に上司との面談で努力と希望をアピールすることをおすすめします。
もちろん本来の業務で手を抜かないことは前提です!
- 英会話のレッスンを受ける
- TOEICの点数を上げる
- 海外顧客の来客アテンドを手伝う
- 海外駐在・海外営業メンバーと親交を深める
海外駐在の多い会社を選択する
もし今の職場で海外駐在できる可能性が低いと考えたら転職するのも一つの方法です。
特に海外売上比率の高い商社・メーカーでは海外駐在員の派遣も積極的に行っています。
私も鉄道会社からメーカーに転職した際、全体的な海外経験の多さと英語力の高さに驚きました。
海外駐在ができる会社だからと必ずしも難易度が高いわけではないので、以下記事のうち、JACリクルートメント (初めての転職ならdoda・リクルートエージェント)あたりを軸に、エージェントに相談してみましょう。
若ければ若いほど、確実に選択肢が広がりますよ。
海外駐在員の年収・給料 | まとめ
今回は海外駐在員の年収・給料事情について、筆者の実体験を元に解説していきました。
簡単に今回の記事をまとめます!
- 海外駐在員の年収はサラリーマンでもトップクラス(額面1.5倍、手取り1.7~1.8倍)
- 駐在中の収入が増える理由は危険や不安定でハードな生活に対する福利厚生・手当の充実
- 海外駐在前、海外駐在中、帰国時にそれぞれ恩恵あり。詳細は各社で大きく異なるため要チェック!
- 国ごとに海外駐在員の年収事情は異なる
- 途上国ではハードシップ手当がつき、先進国では物価に見合った給料
- 業界・企業ごとでも年収事情は異なる
- 基本的には日本の平均年収による。数字に表れない福利厚生の差が大きい
- 海外駐在員としてのキャリアは魅力的である一方、ライフプランの明確化が重要
- 海外駐在員を目指すには「今の会社でアピールする」「海外駐在しやすい会社に転職」
筆者の経験としても、海外駐在は人生を変える経験だったと考えますし、ツラいことも多かったけど今となっては全てが良い思い出。
今も、あの国でまた仕事をしたいなあと思いながら日本で過ごす日々です。
年収アップや将来的なキャリアアップを期待した海外駐在だって何も問題ありません。
一度きりの人生、海外駐在で年収を上げて、少しでも多くの知見・経験と将来のキャリアづくりができることを祈っています。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
海外駐在のメリット・デメリットはこちらから。
気楽に読んでみてください。